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前上博

2005年に起きた自殺サイト殺人事件の犯人。
自殺サイトで被害者を物色、ネット心中を持ちかけて誘い出し、絞殺した。
2007年に死刑判決が確定。
2009年、異例の早さで死刑を執行された。
なお、同日には山地悠紀夫も処刑されている。

<概要>
前上は3件の殺人事件を起こしているが、手口はいずれも同じ。
自殺サイトで被害者を物色、一緒に自殺しようと持ちかけて誘い出し、人気のない場所へ連れて行く。
そして、抵抗を防ぐため言葉巧みに手足を拘束した後、口や鼻を塞いで窒息させるというもの。
殺害後、死体は埋めるなどして遺棄している。
2005年2月19日に第一の殺人。被害者は25歳の女性。
5月21日、第二の殺人。被害者は14歳の少年。
殺害後、被害者の家族に身代金を要求している。
更に6月10日、21歳の男性を殺害。これが最後の殺人となった。
8月になって、最初の被害者の遺体が発見されたことをきっかけに前上は逮捕。
取り調べ中、残り2件の殺害も自供した。

前上は幼い頃から首を絞めるという行為に性的な快感を覚えていた。
きっかけは子供の頃に読んだ江戸川乱歩の小説の挿絵だという。
前上には何度か暴行で逮捕された経歴があるが、どの事件の目的も首を絞めることにあった。
自殺サイト事件でも、首を絞めて被害者を失神させては覚醒させるという行為を数度繰り返した後、絞殺している。

なお、前上は事件前から童貞を公言していた。
被害者にも性的な暴行は加えていない。
婚約者もいたらしいが、彼女とは一度性的関係を結ぼうとして失敗したきり、再び関係を持とうとはしなかった。

また、絞殺以外にも白いソックスに対して強い興奮を覚えていた。
きっかけは学生時代に教育実習に来た実習生で、前上は彼女の首を絞める妄想に耽っていた。
その彼女がいつも白いソックスを履いていたという。
被害者に予め白いソックスを履かせたり、自分で持ってきたものを履かせたりしていた。
彼が逮捕後にいた拘置所では白いソックスは履かないというドレスコードができたそうだ。

犯行中には被害者が苦しむ様を撮影しており、裁判でも証拠として提出されている。
ネットでたまに見かけるコピペ(被害者が「やめて」と苦しんでいるもの)は、裁判で明らかになった犯行時の録音が元になっていると思われる。
この録音については下記の本でも少し紹介されている(コピペの元ネタはこの本だと思う)。

<リンク>
判決文(pdf)

<ノンフィクション>

悪魔が殺せとささやいた―渦巻く憎悪、非業の14事件― 新潮45編集部 新潮文庫

この事件を扱ったフィクション、ノンフィクション共に少ない。
まるで小説のような、ある意味分かりやすい快楽殺人だからだろうか。
きっかけが江戸川乱歩というのも扱いにくい原因か。
事件発覚当時、この手の事件が好きな人々でさえ『江戸川乱歩の名前を出すな』と怒っていたのを思い出す。


殺人者はいかに誕生したか―「十大凶悪事件」を獄中対話で読み解く 長谷川博一 新潮社

臨床心理士の著者が面会や往復書簡による対話により、有名事件の犯人の生育歴や精神状態について考察している本。
前上は自分がどうしてこうなったのか調べて欲しいと言って、かなり積極的に著者とコンタクトを取っていたそうだ。
興味があれば一読の価値あり。

<おまけ>
山崎紗也夏の漫画『サイレーン』に出てくる白ソックスに固執するタクシードライバーの連続殺人犯の元ネタは、多分この前上と日高広明(1996年に女性4人を殺害したタクシードライバー)だと思う。

アンドレイ・チカチーロ

アンドレイ・ロマノヴィチ・チカチーロ
別名:ロストフの殺し屋など
<概要>
1978〜1990年の間にソビエト連邦内で52人の子供・女性を殺害した。
ソビエト連邦においては『連続殺人は資本主義の弊害』。
チカチーロは仕事柄国中に出張し、その先々で事件を起こしていたために、民警が一連の事件を連続殺人と気付くのには長い時間がかかった。
そのため捜査は難航。
冤罪で一人が死刑に処され、尋問中に別の容疑者が自殺している。
1990年に逮捕、1992年に処刑。
ソ連は崩壊し、ロシア連邦に変わっていた。

<リンク>
Wikipedia: アンドレイ・チカチーロ
事件についてかなり詳細な記述あり。
日本語版には載っていないが、ロシア語版などに載っている公判中の凶悪な顔写真は一度見ると忘れられないインパクト。

<ノンフィクション>

子供達は森に消えた ロバート・カレン ハヤカワ文庫

捜査側の視点から描いたもの。
チカチーロの人物像ももちろんだが、当時の警察やらKGBやらの状況、崩壊へと向かう国の様子など、読み応えあり。

<小説>

チャイルド44 トム・ロブ・スミス 新潮文庫
主人公はチカチーロを元ネタとした事件を追うKGBの捜査官。
ソ連時代を舞台としたミステリは珍しく、アクションありスリルありでとても面白かった。
冤罪事件やチカチーロの子供時代の逸話(戦時中の食糧不足の折、妹が目の前で殺害され食われたという話。事実かどうかは不明だが……)も盛り込んでいる。
事件概要を把握した上で読むとなお一層面白い。